誘導電動機の始動を大きく2つに分類すると、電源の全電圧を掛けて始動する全電圧始動と、電圧を下げて始動する減電圧始動(スターデルタ始動、リアクトル始動)に分けられます。
誘導電動機の始動時は、大きな電流が流れます。小容量の誘導電動機の場合、電源電圧をそのまま掛けて始動しても支障ありませんが、大容量の誘導電動機の場合は始動電流が著しく大きくなるため、それに耐えうる電源容量が必要になります。また始動時の回転ショックも大きくなります。そのため小容量の誘導電動機には全電圧始動法、大容量の誘導電動機には減電圧始動法が用いられます。
始動から誘導電動機に電源電圧をそのまま印加して始動する始動法です。
停止状態の誘導電動機に電源電圧をそのまま印加するため、始動電流が大きくなります。その値は定格電流の5〜10倍にもなります。この始動電流にあわせてモーターの電源を用意するには大きなブレーカーと太いケーブルが必要になります。始動時の大電流の影響で、電圧降下が発生し同じ系統の機器に影響が出ることもあります。
そして始動時の始動トルク・加速トルクが大きく始動時間が短いです。電動機のショックが大きいため、比較的小容量の誘導電動機に採用されます。
図1はかご型誘導電動機を全電圧始動する回路図です。始動するときはMC−Mを閉じて電動機に全電圧を印加します。回路がシンプルで始動用の機器が不要です。
図1

減電圧始動法の中でもっともよく使われる方式です。通常、運転中の誘導電動機の巻線はデルタ結線になっており、電源の線間電圧が各巻線に印加されています。スターデルタ始動法は、始動時はスター結線とし、ある程度加速してからデルタ結線に切り替え全電圧を印加します。スターデルタ始動法は始動電流を全電圧始動法で始動した場合の1/3とすることができます。
始動による突入電流が軽減でき、減電圧始動法の中では安価な始動装置です。始動トルク・加速トルクが小さいので無負荷状態で始動できる負荷に用いられます。
図2はかご型誘導電動機をスターデルタ始動する回路図です。始動するときはMC−MとMC−Sを閉じて、電動機の巻線をスター結線にします。このとき各巻線には線間電圧の1/√3が印加されています。この状態で加速し一定時間経過後、MC−Sを開いてMC−Dを閉じます。すると巻線がデルタ結線になり、各巻線に全電圧を印加します。
図2

図3

図3はデルタ結線です。
デルタ結線の場合、Rに流れる電流’Iraは
’Ira=’Vab/R
となります。線電流である’Iaは相電流である’Iadの√3倍ですので
’Ia=√3’Vab/R
となります。
図4

図4はスター結線です。
スター結線の場合、Rに流れる電流’Iayは
’Iay=’Ea/R
相電圧である’Eaは線間電圧である’Vabの1/√3ですので
’Ea=’Vab/√3
よって
’Iay=’Vab/√3R
線電流である’Iaは相電流である’Iadと同じですので
’Ia=’Vab/√3R
となります。
ここでスター結線のときの線電流’Ia=’Vab/√3Rとデルタ結線のときの線電流’Ia=√3’Vab/Rを比較すると
スター結線のときの線電流/デルタ結線のときの線電流
=(’Vab/√3R)/(√3’Vab/R)
=(’Vab/√3R)×(R/√3’Vab)
=(1/√3)×(1/√3)
=1/3
となり、スター結線のときの線電流は、デルタ結線のときの線電流の1/3になることがわかります。
始動リアクトルを用いた始動法です。誘導電動機の1次側にリアクトルを設置し、リアクトルによる電圧効果分を下げた電圧を電動機に印加して始動する方式です。
リアクトルの巻線から出された数段階のタップを選択することにより始動電流や始動トルクを調整することができます。始動トルクは始動電流の2乗に比例するため、始動電流の減少に伴って始動トルクは大きく減少します。
図5はかご型誘導電動機をリアクトル始動する回路図です。電動機の巻線と直列に始動用リアクトルを接続し、始動時はMC−Mを閉じて加速し、一定時間経過後、MC−Dを閉じて始動用リアクトルを短絡し、電動機各巻線に全電圧を印加します。
図5

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