高圧や特別高圧で受電する需要家の受変電設備には一般的に進相コンデンサが設置されています。この進相コンデンサは、受電点の力率を100[%]に近づけるために設置されています。
コンデンサは交流において、電流の位相を電圧の位相より90[°]進める働きがあります。モーター等の誘導性負荷は遅れ無効電力を消費しますが、コンデンサは進み無効電力を消費します。一般的な需要家の負荷は、モーター等低力率の機械が多く使用されていますので、受電点の力率は遅れの低力率となります。この遅れの低力率を100[%]に近づけるために進相コンデンサを設置します。
もう少し掘り下げて考えてみます。
図1−1のようなモーター負荷の回路があったとします。
図1−1

図1−1ではモーターの抵抗成分は省略し、リアクタンス成分のみとしています。
図1−2は、この回路の電圧・電流ベクトル図です。
図1−2

電圧より電流が90[°]遅れています。
図2−1はコンデンサの回路です。
図2−1

図1−2は、この回路の電圧・電流ベクトル図です。

電圧より電流が90[°]遅れています。
それでは図3−1のように図1−1のモーターと、図2−1のコンデンサを並列接続した場合を考えます。
図3−1

図3−2は、図3−1の回路の電圧・電流ベクトル図です。

Il[A]とIc[A]はお互い逆向きのベクトルです。仮にIl[A]とIc[A]のそれぞれの大きさが等しいとすると相殺されて、Il[A]とIc[A]の合計であるIt[A]は0[A]になります。
以上のことから、電源にモーターだけつないだ時より、モーターとコンデンサを並列接続し電源につないだほうが、無効電力が少ないということになります。このコンデンサの役割を進相コンデンサで行っています。
負荷の変動が少なかったり、小規模な受変電設備の場合、コンデンサを常時投入する方式や、タイマーによって日中のみ投入する方式が採用されていますが、ある程度の規模の受変電設備の場合、自動力率調整器によって、複数のコンデンサを台数制御しています、自動力率調整器は受電点等の力率を測定し、遅れ無効電力の大きさによって進相コンデンサの投入台数を制御します。
電源と進相コンデンサの間には直列リアクトルというものが接続されています。
直列リアクトルは、
@進相コンデンサに高調波が流入するのを抑制
A進相コンデンサ投入時の突入電流の抑制
等のために設置されます。
高調波電流は基本波周波数の整数倍の周波数の電流です。
コンデンサのリアクタンスXc[Ω]は、
Xc=1/2πfC
f:電源周波数 C:静電容量
という公式で表されます。
高調波は、基本波に比べ周波数が高いので、fの値が大きくなります。すると上式よりXcは小さくなります。リアクタンスが小さくなると、電流が増大し、コンデンサの過熱・膨張や、最悪の場合破裂を引き起こします。
リアクトルのリアクタンスXl[Ω]は、
Xl=2πfL
f:電源周波数 L:インダクタンス
ですので、周波数が高いほどリアクタンスも高くなり流しにくくする性質があります。この作用によって直列リアクトルは進相コンデンサに過電流が流れないよう保護します。
リアクトルのようなコイルは、電流が変化すると変化を妨げる方向に起電力を発生するという性質があります。この性質をレンツの法則といいます。コンデンサは、投入時大きな突入電流が流れるのでリアクトルで突入電流を抑制します。
力率をよくすると電力会社に支払う電気料金が割引になります。これを力率割引といいます。
力率割引とは、1ヶ月のうち8:00〜22:00の時間帯における平均力率が85[%]より高い場合、1[%]上回るごとに基本料金が1[%]割り引かれるというものです。逆に85[%]より低い場合、1[%]下回るごとに1[%]割り増しされます。よって平均力率を100[%]に維持すれば最大で15[%]の割引を受けられるということになります。
ちなみに力率が100[%]を超えて進み力率となった場合も100[%]として扱われます。
電気料金の基本料金は電気の契約電力に単価を乗じて算出されます。よって無効電力は基本料金に反映されません。つまり電力会社は有効電力+無効電力を供給できるような設備を用意することになります。
A:3相6600[V]1000[kW]遅れ力率50[%]
B:3相6600[V]1000[kW]力率100[%]
を比較します。
P=√3VIcosθよりAの電流Ia[A]は
Ia=P/√3Vcosθ≒175[A]
Bの電流Ib[A]は
Ib=P/√3Vcosθ≒87[A]
となり、Aに比べBの方が電流が少なくなります。
同じ契約電力であっても力率が高いほうが少ない電流ですむので、基本料金が割り引かれるのです。
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