接地とは、電気設備機器や電路と大地を電気的に接続することです。接地電極という金属製の棒や板を土中に埋め込み、その電極から電線で電気設備や電路に接続します。
接地には目的によって種類があります。ここでは機器接地と系統接地(中性点接地)を紹介します。
洗濯機や冷蔵庫、電子レンジにはアース(接地)が必要です。
アースはどんな役割があるのでしょうか。
図1

上の図は、洗濯機です。
電力会社側の変圧器は中性線を接地しています。
アースを取っていない状態で漏電が発生すると図1の赤い矢印のように漏電電流が流れ、人が感電してしまいます。状況によっては人が死に至る可能性もあります。
図2

アースを取っていると図2の赤い矢印のように漏電電流が流れ、人に流れる電流が0Aにはなりませんが、かなり小さくなります。これは人よりもアースの方が抵抗が小さく、電流が流れやすいためです。
アースは必ず正しく接続しましょう。
変圧器の二次側の中性点を接地することを、中性点接地といいます。図3は高圧単相6600Vから低圧単相3線式210−105Vに変圧している変圧器の図です。
図3

中性点というのは電気的に中立である点という意味ですので、
単相2線式及び3線式であればN相
3相3線式の2次側がY結線の場合はYの中心
を接地することになります。
3相3線式の2次側がΔ結線であれば中性点が取れないので、300V以下の場合に限り低圧側の1端子(一般的にはS相)を接地します。
中性点接地(2次側がΔ結線の場合の低圧側1端子接地を含む)の種類はB種接地という種類です。電気設備技術基準によると、B種接地の接地抵抗は、
変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流のアンペア数で150 (変圧器の高圧側の電路又は使用電圧が35000V以下の特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、1秒を超え2秒以内に自動的に高圧側の電路又は使用電圧が35000V以下の特別高圧側の電路を遮断する装置を設けるときは300,1秒以内に自動的に高圧側の電路又は使用電圧が35000V以下の特別高圧側の電路を遮断する装置を設けるときは600)
を除した値に等しいオーム数以下
となっています。
これより、一般的に150を1次側の一線地絡電流で割った値がB種接地の接地抵抗であることがわかります。
低圧電路に接地工事をすることによって逆に不都合を生じる場合や、300Vをこえる低圧電路に中性点が取れない場合は、高圧巻線と低圧巻線との間に金属製の板を設け、変圧器内部故障の際に、高圧が直接低圧巻線に侵入しない構造をもった混触防止板付変圧器を使用し、混触防止板をB種接地すれば低圧電路を非接地とすることができます。
図4

混触防止板は1次巻線と2次巻線の間に挿入した金属板です。この金属板を接地すれば1次巻線と2次巻線が直接接する可能性は限りなく0になります。
混触防止板付変圧器は混触防止板用接地端子があるものと、混触防止板用接地端子と変圧器本体の接地端子が共通になっているものがあります。接地は、1ヶ所に2種類の接地を施す必要がある場合、どちらか接地抵抗の小さい方の接地で兼用することが認められています。兼用する場合は混触防止板用接地端子と変圧器本体の接地端子が共通になっているものを選択します。
中性点接地の目的は、
@高低圧混触時の低圧側電位上昇の抑制
A低圧側地絡時の健全相電位上昇の抑制
B地絡継電器・漏電遮断器の確実な動作
等があります。
変圧器の1次側巻線と2次側巻線は平常状態では絶縁されています。
しかし、万一この絶縁が破壊すると、図5のように1次電圧が2次側電路に印加されることになります。
図5

これは普段低圧で使用する回路に高圧が印加される訳ですから大変危険です。2次側電路の絶縁は高電圧の侵入により破壊し、短絡事故や地絡事故を巻き起こし、最終的にはケーブルや機器が焼損するといった極めて過酷な事故です。みなさんが今操作しているパソコンにも高電圧がかかるのです。
しかし、中性点接地がしてあれば、図6のように電流が流れ、高低圧混触時の低圧側電圧は150V以下に抑えられます。
図6

先ほど電気設備技術基準で、B種接地の接地抵抗は一般的に150を1次側の一線地絡電流で割った値と述べました。図6の場合、150をIg(赤い線で示される高圧側の一線地絡電流の値)で割るということになります。つまり、一線地絡電流が中性点接地の抵抗を流れることによって発生する電圧Vgは150[V]以下、つまり中性点であるN相の電圧Veが150[V]以下ということになります。よって低圧側電路に高圧が印加されることを抑制できるのです。
図7は低圧側で地絡事故が発生したときの図です。
図7

仮にT相が完全地絡(0Ωで大地に接続された状態)したとすると、T相の対地電圧は0[V]になります。そのためR相の対地電圧Veは210[V]になります。
また、地絡が発生すると対地静電容量によって進み位相の電流が流れます。地絡が一時的なもので地絡状態が消滅すると、電流が0[A]になったときに地絡電流がとまります。地絡電流が90[°]進み電流であったとすると、電流が0[A]になったときの電圧は+か−の最大になります。+電圧が対地静電容量に充電された状態で地絡電流がとまったとすると、50[Hz]であれば0.01[秒]後に−電圧が印加されることになり、地絡点には実効値105[V]の最大値148[V]の2倍296[V]が印加されます。これは進み小電流遮断現象といいます。
進み小電流遮断現象による高電圧によって再度地絡が発生する可能性があります。これを再点弧といいます。
しかし、図8のように中性点接地がされていると、R相の対地電圧Veは、Reに地絡電流Igが流れることによって発生する電圧Vg+105[V]となります。また、非接地方式に比べると地絡電流は増大しますが、対地静電容量による影響が減り再点弧が発生しにくくなります。
図8

中性点接地方式は、中性点を低抵抗で接地するので、非接地方式に比べ地絡電流が大きくなります。よって地絡継電器や漏電遮断器が地絡の発生を検知しやすくなり、事故除去が確実に行えるようになります。
くどいようですが、中性点接地方式は、中性点を低抵抗で接地するので、非接地方式に比べ地絡電流が大きくなります。よって人が感電した場合も、人体に流れる電流は非接地方式に比べ増大します。
しかし、高低圧混触時の低圧側の電位上昇は広範囲に及び、絶縁破壊による火災や感電などをひきおこすため、もっと恐ろしい事故となります。そのため2次側が低圧の変圧器には一般的に中性点接地方式が採用されています。
接地電極と大地との間には抵抗があります。これを接地抵抗といいます。
接地抵抗の値は電気設備技術基準で下表のように定められています。
|
種別 |
接地抵抗値 |
接地工作物 |
接地線の太さ |
|||
|
A種接地 |
10Ω以下 |
高圧・特別高圧の機器の鉄台、外箱。高圧電路の避雷器。特別高圧計器用変成器2次側電路。高圧ケーブルを収める管等、電線接続箱、金属被覆(屋内電線路など)。 |
5.5mu |
|||
|
B種接地 |
150/I1Ω以下。I1は1線地絡電流。I1の値または所要抵抗値を電力供給者と打ち合わせる。 |
高圧・低圧結合変圧器の低圧側中性点(低圧側が300V以下の場合で中性点接地が難しい場合の低圧側の1端子)。高圧及び特高と低圧結合変圧器の巻線間の金属製混触防止板。特高・低圧結合変圧器の低圧側中性点。架空電線に多芯型電線を使用する場合の絶縁被覆していない中性点又は接地側電線。 |
1相の変圧器容量 |
|||
|
100V |
200V |
400V |
接地線の太さ |
|||
|
5kVA以下 |
10kVA以下 |
20kVA以下 |
5.5mu以上 |
|||
|
10kVA以下 |
20kVA以下 |
40kVA以下 |
8mu以上 |
|||
|
20kVA以下 |
40kVA以下 |
75kVA以下 |
14mu以上 |
|||
|
40kVA以下 |
75kVA以下 |
150kVA以下 |
22mu以上 |
|||
|
60kVA以下 |
125kVA以下 |
250kVA以下 |
38mu以上 |
|||
|
100kVA以下 |
200kVA以下 |
400kVA以下 |
60mu以上 |
|||
|
175kVA以下 |
350kVA以下 |
700kVA以下 |
100mu以上 |
|||
|
C種接地 |
10Ω以下 |
300V超過の機器の鉄台、外箱。300V超過の電線管、金属ダクト、バスダクト、ラック、メッセンジャーワイヤー。低圧配線と弱電流線との間の金属製隔壁。粉塵防爆フレクシブルフィッチング。 |
過電流遮断器の定格電流 |
接地線の太さ |
||
|
30A以下 |
1.6mm以上 |
|||||
|
50A以下 |
2.0mm以上 |
|||||
|
100A以下 |
5.5mu以上 |
|||||
|
150A以下 |
8mu以上 |
|||||
|
200A以下 |
14mu以上 |
|||||
|
400A以下 |
22mu以上 |
|||||
|
600A以下 |
38mu以上 |
|||||
|
800A以下 |
60mu以上 |
|||||
|
1000A以下 |
60mu以上 |
|||||
|
1200A以下 |
100mu以上 |
|||||
|
3相誘導電動機の場合 |
||||||
|
200V |
400V |
|||||
|
0.2kW |
1.6mm以上 |
0.2kW |
1.6mm以上 |
|||
|
0.4kW |
1.6mm以上 |
0.4kW |
1.6mm以上 |
|||
|
D種接地 |
100Ω以下 |
高圧計器用変成器の2次側電路。300V以下の機器の鉄台、外箱。地中電線を収める管等、電線接続箱、金属被覆。架空メッセンジャーワイヤー。300V以下の電線管、金属ダクト、バスダクト、ラック。フロアダクト、ライティングダクト、線ぴ。X線装置等。 |
0.75kW |
1.6mm以上 |
0.75kW |
1.6mm以上 |
|
1.5kW |
1.6mm以上 |
1.5kW |
1.6mm以上 |
|||
|
2.2kW |
1.6mm以上 |
2.2kW |
1.6mm以上 |
|||
|
3.7kW |
2.0mm以上 |
3.7kW |
1.6mm以上 |
|||
|
5.5kW |
5.5mu以上 |
5.5kW |
2.0mm以上 |
|||
|
7.5kW |
5.5mu以上 |
7.5kW |
2.0mm以上 |
|||
|
11kW |
8mu以上 |
11kW |
5.5mu以上 |
|||
|
15kW |
8mu以上 |
15kW |
5.5mu以上 |
|||
|
18.5kW |
8mu以上 |
18.5kW |
5.5mu以上 |
|||
|
22kW |
8mu以上 |
22kW |
8mu以上 |
|||
|
30kW |
14mu以上 |
30kW |
8mu以上 |
|||
|
37kW |
22mu以上 |
37kW |
8mu以上 |
|||
|
− |
− |
45kW |
8mu以上 |
|||
|
− |
− |
55kW |
14mu以上 |
|||
|
− |
− |
75kW |
22mu以上 |
|||
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